2017年度研究活動一覧」 発刊に際して

 

工学研究科長 福井一俊

 

 

「工学部・工学研究科研究活動一覧」は、1990年度に発刊が始まり、この刊で28回目となるようです。たしか記憶によれば、研究活動一覧は研究紀要の付録として始まったはずですが、この年に独立した冊子としても発刊されたわけです。2007年からは印刷物だけでなく電子形式としてホームページからも見られるようになっています。そして、この刊からは収録期間が暦年から年度に完全に変更になっています。

1990年といえば平成2年ですので、平成に入ったばかりの時期です。一方、来年(2019)にはその平成が終わります。一時代が終わる長い年月ですから、時代の変遷といえばそれまでですが、研究活動一覧の発行形態や収録期間の変化は工学部・工学研究科を取り巻くこの28年の環境変化を反映しています。まず、研究活動一覧の発刊自身が大学の活動の可視化のひとつであったはずです。そして、ホームページ化は研究論文の発行形態や社会への説明の表現方法の大きな変化の反映です。これに対して、論文が暦年で分類されているにも関わらず、収録期間を年度で区切るということは「評価」の側面が強くなっていることを反映しています。国家の財政状況の逼迫が、単純に国立大学の研究活動への厳しい目(評価)に置き換わってしまっているならばとても残念なことですが、我々の活動がどの様に論文として社会に還元されているかを示すことは必要です。そういう意味で、我々工学部・工学研究科の一人ひとりの活動がこうやってリスト化され、冊子として成立することは、今年も活動の証を示せたわけで、嬉しく思うとともにこの先の活動を確信するものであります。

最後に、研究活動一覧が今年度も無事に刊行できたのは、田嶋委員長をはじめとする編集委員皆さんの尽力によるところです。この場を借りて感謝申し上げます。