19年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫,及び今後の教育への抱負」 — 生物応用化学専攻 沖 昌也

私はまだ、毎回、試行錯誤しながら授業を行っている。「試験に向けた一時的な暗記」ではなく、「応用の利く本質的な理解」を目指した教育をしたいという目標に向けて。

私の所属する生物応用化学科は「化学系」、「物理系」、「生物系」と幅広く教育を受けることが出来るという大きな長所がある。化学・物理を敬遠し、自分の興味のある生物のことばかり勉強してきた私は、最近になって、もっとしっかりと生物以外のことを勉強しておけば良かったと後悔している。ただ、その重要性を自分が学生時代に気付けたかと問われれば答えは「NO」である。今の学生はどうなのか?第一回目の講義のときにアンケートも兼ねた、簡単な理解度を問う問題を出してみた。その結果は予想以上で、答案を見ただけで生物に興味があるか否か一目瞭然であった。生物に興味を持っている学生を更にもっと伸ばすべきなのか、あるいは興味を持っていない学生に興味を持たせるように講義を行うべきなのか、前者を選択するか、後者を選択するかでは講義内容も大きく変わってくる。結局、考えても結論は出なかった。とにかく実際に講義を行い、学生の反応を見ながら考えようと思い講義をスタートさせた。

個人的には、まず興味を持つこと、そして自分で知りたいと思うことが物事を理解する上で最も重要であると考えている。そのためには着実な知識の積み重ね、本質的理解が必要で、今後、講義を進めて行く上で、最も基本となること、今日の講義でどうしても理解して欲しいことを講義の最初に「本日のテーマ」として説明し、講義の終了時には「今日の講義で理解出来なかったこと、改めて説明して欲しいこと。」を記入するよう紙を配った。最初はほとんど反応が無かったが、毎回、講義の最初に、前回の講義の疑問に答えているうちに、様々な意見が出て来た。その質問を見ているうちに、自分では知らず知らずに使っていた専門用語、自分の中ではいつの間にか常識になっていたことへの説明不足、その結果混乱しだしたところが何人かの学生で一致することが分かって来た。自分では全く予想していなかったことである。また、最後の試験では「暗記してれば出来る問題」と「本質的に理解していないと解けない問題」を混ぜた問題を作成した。応用力を問う問題に関して、予想以上に出来ており、来週解答をすると言ったにも関わらず、「解答が気になる」ということで試験直後に解答を聞きに来る学生もいた。非常に嬉しいことであったが、試験の解答をしているうちに分かって来た。私の講義はいつの間にか生物学に興味のある学生が対象になっていたようである。今後は、更に工夫を重ね、1つの学科に所属し、分野を越えた教育を受けることの出来る環境の重要性を伝え、偏った知識だけでは無く、幅広い知識を持ち、1つの物事を多くの視点から考えられる学生が育っていく教育環境を他の先生とも協力しながら作っていきたい。

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