19年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫,及び今後の教育への抱負」 — 材料開発工学科 米沢 晋

講義を進行する上で以下の点を特に念頭に置いている。もちろん講義の方法は常に変わり続けるものであるという認識の下、継続的な状況把握、改善努力を継続している。

1.解法からの理解・・・「問題を解いてみせる」

教員同士でしばしば話題になることに、「事象の根本をきちんと教えれば解法のテクニックは自然とついてくる」指導の方がいいのか「解法のテクニックを磨かせてだんだんと事象の根本に近づける」指導の方がいいのかという内容がある。理想的には根本をきちんと理解するところからはじめる方が本筋だろうと思われるが、場合によってそれが通用しないことがある。例えば、必修の専門基礎科目のようなものの場合、学生の視線はどうしても試験や評価に向きがちで、学問的な興味を啓発するといった努力を有限の時間内には織り込みづらいと感じている。細かい計算過程などまで確認しながら演習問題を解いてみせることを話の中心におき、その繰り返しの中から理論や概念が感じられるような構成を試行錯誤してみている。

2.リアルタイムコミュニケーション・・・「話す。聞く。」

講義や演習においては聞く側にあった進行速度が最も重要と考えている。理解度のチェックと進行速度の調整のためには、とにかくコミュニケーションを密にとる必要がある。そのため、毎講義ごとに感想、質問、授業内容への希望、その他自由記述を記述する時間をとり、回収、次講義時に回答あるいはコメントを述べるよう努力している。5 minute paperのようなものであるが、それよりも記述の自由度を高く設定することで、集計は困難であるが、学生の「気持ち」が見える部分が増加する。例えば、「授業内容を理解できたか?」という質問においては、以前には「理解できた」とした内容に対する質問でも試験が近づくにつれて「理解できていない」と回答する傾向が顕著になる。綿密に指導するためにはこの中から本当に理解できていないものと単に不安に駆られているものとを区別して対処する必要がある。こうした微妙な「空気」はなかなか読めないが、やはりコミュニケーションなくしては試行錯誤すら出来ないと感じている。また、個人あるいはクラスの単なる学習到達状況だけでなく身体的、精神的健康に関する状況も少なからず把握できるため、もちろん完全ではないが「正直」なコミュニケーションをとれるように思う。

3.視聴覚機器の利用の最小化・・・「書かせる。聞かせる。」

プロジェクターなどの視聴覚機器の使用は最小限度にとどめ、学生に「書かせる」ことを重要視している。ただし、板書からノートをとるとどうしても写すことに気をとられてしまい話を聞くほうの注意力が散漫になる。加えて、米沢の講義については過去にも現在にも程度の差こそあれ「板書からノートを起こしにくい。」という感想、意見が出る。そこで、キーワードが記述によって常に意識されるような授業用に特化したプリントを用意し、記述が終了すると、それがいわゆる講義ノートになるように配慮している。

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