19年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫,及び今後の教育への抱負」 — 物理工学専攻 吉田拓生

教育において工夫するべき点は、大きく分けて2つあると思います。1つは、何をどう教えるかという教育技法に関する工夫、もう1つは学生との関係をどう保つかという精神的な面での工夫です。前者の教育技法に関する工夫というのは、さほど難しいことではなく、私のような怠け者でも、比較的容易に何らかの工夫ができるものでして、私の場合、例えば以下のような工夫をしています。

  1. 私が担当している電磁気学Ⅱ、電気電子回路Ⅰ、物理学Ⅲなどの科目では、内容を理解するために数学の基礎知識が必須となりますが、各科目の第1回目の授業で、各科目を理解する上で必要となる数学に関するアンケート(高校から大学1年次のレベル、参考資料1参照)を取り、受講生の多くがまだ十分習得していないと判定された数学については、2回目以降の授業の中で必要に応じて詳しく説明しながら進めています。
  2. 3次元空間でのベクトルを扱う授業(特に、電磁気学Ⅱ)では、ベクトルの模型を作り、平面的な絵だけでは理解しにくい様々なベクトルの位置関係を立体的に分かりやすく表現する工夫をしています(参考資料2参照)。このようなアナログ的なものでも、学生は、案外、喜んでくれます。
  3. 電気電子回路Ⅰ、放射線安全工学、粒子線計測学(大学院)の授業では、授業で取り上げる回路素子や放射線検出器などの実物を教室に持ち込み、受講生に見せながら授業を進め、単に理論的に理解するだけでなく、実用に即した理解が深まるよう工夫しています(参考資料3参照)。教室に持ち込めないような大きな機器は、写真を写してスライドで見せています。

さて、このように、教育技法に関する工夫は、ちょっと考えればいろんなアイデアが浮かんできて、それを実行に移すのも難しくないのですが、一方、学生との関係をどう保つかという精神的な面での工夫となると、なかなか難しく、私も未だどのようにするのがよいのか、結論を出せないままここまで来てしまいました。学生との関係をどう保つかとは、平たく言えば、学生達とまるで友達のように親しい関係を築くのがよいのか、それとも、あくまでも教師として厳しく接するのがよいのか、学生を「もう大人」として扱うべきか、それとも、「まだ子供」とみなすべきか、といったような問題ですが、今後の抱負として、このようなことについても試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの答えを見つけていきたいと思っています。私の目標は、ただひとえに、学生達が卒業し、社会の第一線で活躍するようになってから、「そういえば学生時代、こんな先生がいたなあ。自分が今あるのもこの先生のお蔭かもしれない。」と思ってもらえるようになることです。
以上

参考資料1:電気電子回路Ⅰの第1回目の授業で行う数学のアンケートの実物



参考資料2:電磁気学Ⅱの授業で用いるベクトルの模型の例

電流が作る磁束密度を求めるための法則の1つであるビオ・サバールの法則を説明するためのベクトル模型


円周上を流れる電流が円の中心軸上に作る磁束密度をビオ・サバールの法則を用いて求めるときに用いるベクトル模型


参考資料3:授業中に見せる電気電子回路素子や放射線検出器の実物の例

電気電子回路素子のサンプルの例
放射線検出器の部品の例
ダイオード、トランジスター


オペアンプLF356N

放射線検出器の部品の例
荷電粒子検出用
プラスチックシンチレーター
シンチレーターの発光を検出するための
受光素子(光電子増倍管)

←1つ前のページに戻る

教育

工学部・工学研究科

優秀教員

GPプロジェクト