20年度 優秀教員のことば

理想の授業に向けて — 建築建設工学専攻 明石行生

私の「理想の授業」は、例えば、映画「The Life of David Gale(2003)」でKevin Spaceyが演じるGale教授が見せたような、学生とのコミュニケーションを重視した授業である。Gale教授は、常に学生とアイコンタクトし、頻繁に学生に問いかけ、ユーモアまじりに流暢に話す。一方、学生は、リラックスしてGale教授の話に集中するが、リラックスしすぎて寝ることはない。教授の質問に答える時だけでなく、質問や意見がある時にも挙手して発言する。

このようなコミュニケーションを重視した授業の利点は、学生にとっては、常に脳が覚醒していること、他の学生と質問を共有できること、人前で話せるようになること、教員にとっては、学生の理解度と授業の問題点が即座にフィードバックされること、である。

授業の工夫

昨年6月、福井大学に着任してから、建築環境工学・設備分野の授業科目を担当している。この分野には、「科学的知見と実用的技術とを橋渡しする」役割があるため、それを意識した教え方を心がけている。例えば、公式を丸暗記させることをなるべく避け、その公式が基づく理論・実験から、その公式が実務でどのように使われているかまでを、一連の流れとして(時間がある限り)説明する。

上述の「理想の授業」に向けて、学生の理解を深め学生とのコミュニケーションを促進するために、「可視化」に留意している。例えば、①パワーポイントを用いて大事な点が必ず伝わるようにする(資料としても配布)、②写真と図を多用する、③最も重要な点だけを板書する、④デモンストレーションを行う、⑤公式および実験結果を数学ソフトによりグラフ化する、⑥実務で遭遇する問題を対象とした演習をする。

特に今年は、④に関し、「教育改革を行うための競争的経費」の支援と中川慶子さんをはじめ研究室の学生の協力を得て、回折格子を用いた簡易分光器キットを作った(図1)。このキットと糊さえあれば、数分間でお洒落な分光器を組み立てることができる。この分光器を用いて、照明の効率と快適性を向上するために光源のスペクトルをどのように選定・改善するとよいかをデモンストレーションする(図2)。

また、学生の発言を促すために、成績に10%の授業貢献度を評価した。もっとも、日本の学生は、「先生の話を静かに聞いていることが優等生だ」と教えられてきたので、「さあ、今日から発言しなさい」と言われても困ってしまう。しかし、1年半を経て、学生は徐々に私の質問に応えてくれるようになってきたし、少しは質問もしてくれるようになった。

今後の抱負

冒頭で述べた「理想の授業」までの道のりは長いが、毎年、一歩ずつそれに近づこうと思う。

最後に、受賞の機会を与えて下さった方々、評価していただいた建築建設工学科の3年生に感謝します。


図1 簡易分光器キット


図2 簡易分光器で見た空の分光分布

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