22年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫,及び今後の教育への抱負」 — 建築建設工学科 本間 礼人

 

自分が福井大学で教鞭を取るようになって10年以上の年月が経とうとしている。

私の専門とする建築材料という領域は、古くはメソポタミア文明からの古典的な技術が現在も現役として用いられており、それに最新の内容をプラスしていくと、教えるべきボリュームは増えていく一方である。例えば、赴任当時のJISには無かったセメントの規格が追加され、廃棄コンクリート捨てずに破砕して砂利や砂を取り出し再利用する再生骨材も規格化された。コンクリートの製造に関する仕様も改定されている。もう一つの主要な講義の一つである鉄筋コンクリート分野でも、仕様書の改定が行われた。

その度に講義の内容を少しずつ付け足しているが、改変した部分が理解されるかどうか毎回心配ではある。講義の中では時系列順になぜこの技術が発生し、取り入れられるようになったのかを必ず説明するようにしており、なるべく事象の説明のみでは終わらないようにこころがけている。

幸い授業評価アンケートなどでは悪くない評価をもらっているようだが、自分としては現在の講義に満足しているわけではない。これからの展望と言えるほどのものではないのだが、ずっと考えてきたことは一つある。

現在の講義内容は、各素材の性質を、その使用方法などとともに知識として具体的に伝えているのだが、あまり具体的過ぎて知的好奇心を満たす魅力に乏しいように思えるのである。各種規格が性能規定よりに変更されてきている時流もあるので、「この要求性能を満たすためには、ここにこの材料をこのような形態で使用し、接合部はこのようにして…」というような、性能から使用材料や工法などに、議論しながら進めていくような講義形態が、目指しているものである。要求性能を満足させるための多種多様の組み合わせが考えられるので、パズルのような知的ゲームに近くなってしまうかもしれないが、この分野は本来そういう楽しみを内在しているものなのであり、それも伝えたいのだ(そしてそれは月曜1限の居眠りの多さへの対処ともなりうる)。しかしそのためには今以上の内容の厳選が必要となり、知識として伝えられる総量は現在の講義でのそれを下回ることになる。難しいバランスを取らねばならないが、何年かかけても、自分の理想の講義を追い求めたいと思う。

最後になったが、自分を選出してくれた3年生の皆さんにお礼を申し上げる。

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