22年度 優秀教員のことば

日頃の教育に対する工夫 — 情報・メディア工学科  吉田 俊之

教員が各講義の準備や採点等に費やす時間や労力(ここでは「エネルギー」と総称させて頂く)全体を100 としたしたとき,

の比率は,どの程度が適当であろうか? もちろん,講義科目や形態にも大きく依存するであろうが,かつて小職は,ほとんどを事前エネルギーとして費やしており,またそれが正しいように思っていた. しかし,昨今の自分自身を振り返って見ると,科目に依らず,ほぼ100%を事後エネルギーに費やしている. 以下,「日頃の教育に対する工夫」とまでは言えないにしろ,この辺りの事情について触れさせて頂く.

小職の担当する科目は,「確率・統計」,「プログラミング言語」,「交流回路」などの,主として学部1,2 年生を対象とした基礎科目であるが,これらは共通して「演習や実習などを通して(実際に手を動かして)はじめて体得できる科目」と言えるものばかりである. 事前に周到に準備をして「流れるように話す」ことができれば,教員側にとっては「すばらしい講義ができた」ことになるのであろうが,逆に学生の立場から見た場合,「果してそれが良いことなのか?」,最近はこのように考えている.もちろん,理路整然とは程遠い講義展開は論外である. ただし,上記のような科目の場合,多少の冗長性があったとしても各事柄をゆっくり丹念に説明し,また例題等をその場で教員自身が考えながら解いてみる,という姿勢の方が「学生がついて来る」ように思えてならない. このため,不謹慎かも知れないが,小職は,講義前の準備に費やす時間は小テスト(後述)の印刷のための10 分程度のみ,講義内容の準備・予習しない,ことにしている. お叱りを頂くかも知れないが,これが小職の「日頃の教育に対する最大の工夫」で,そのため毎回の講義には非常に真剣に取り組んでいる(格好悪いので,学生の前で立往生するようなことはないように).

一方で,上記のような科目では演習や実習は必須であるが,講義の中では十分な時間が取れないのが現状である.かと言って,「次回までに演習問題解いておくように」等と言っても,実際にやってくる学生は2 割あるかどうか. であれば,ある程度,強制的にやらせる必要がある. そこで小職の講義では,(1) 内容を絞った演習問題,実習問題を課題として出し,(2) 必要に応じてレポートとして提出を要求し,(3) 次回の講義の冒頭で“小テスト” として理解度を確認する,という手順を毎回実施している.その採点やチェックには,かなりの時間と労力が必要で, これが冒頭述べた「事後エネルギーとしてほぼ100%」を費やす理由である.

上述の小テストは,「3 回連続で不合格となると自動的に不可」という厳格な方針の下に課しており,小職は学生にとってはこの上なく厳しい先生であろうことは覚悟している. それでも優秀教員に選んでもらえているのは,学生にとって何かメリットもあるためではないか,と思っている(一部の学生だけかも知れないが).

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