23年度 The teacher of the yearのことば

「日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負」 — 電気・電子工学科 坂口 文則

講義における工夫

電気・電子工学科には、物理や数学が得意な学生も多数いる一方で、電気電子工学の技術には大いに興味があっても、数学が非常に苦手な学生も沢山います。私が担当している講義科目には、数学の比較的専門的な知識や数学的な思考法が必要な科目が多く、後者のタイプの学生からは、授業内容がさっぱりわからないという声が、昔から寄せられていました。また、前者のタイプの学生との理解度の差が大きく開くという問題を抱えていました。そこで、さまざまな試行錯誤の末、現在では以下のいくつかの点に留意する講義を行っています。

 

*すでに学んだはずの基礎知識の確認:

講義で説明するとき必要な数学知識について、やや難しいと思われるものについては、たとえ高等学校や今までの大学の教育ですでに習っているはずの知識であっても、習った記憶があるかどうか、習ったとしたらどの科目で習ったか、内容を理解しているか、などを質問し、そのときの反応をみるように努力しています。あやふやな反応しかない場合は、すでに習ったはずの知識であっても、簡単な復習をしたり追加解釈をしたりしたうえで、講義の説明を始めるようにしています。

 

*他の講義科目の内容との関連を説明:

 数学が苦手な学生に比較的多く見受けられるのは、同一の数学知識であっても、別な講義科目で異なった使われ方をすると、相互の繋がりがわからず、全く別個の知識に見えてしまうことです。個々の使われ方を別々のパターンとして丸暗記すると、丸暗記しなければならないパターンの種類が飛躍的に増え、パニックを起こしてしまうようです。そこで、講義で説明に用いる数学知識と他の講義科目がどのように関連しているかを、なるべく時間を割いて説明するようにしています。

 

*パターン丸暗記からの脱却を推奨:

数学の知識が必要な講義科目では、まず基礎的な内容を「理解」することが重要です。これに反し、基礎的な内容を十分に理解しないまま、問題の解き方の「丸暗記」で対処しようとする学生が、後を絶ちません。その対策として、試験問題の出題傾向を毎年大きく変え、理解なしの丸暗記では全く勉強になっていないことに関して、学生に自覚を促す工夫をしています。当初、この試みは多くの学生から嫌われましたが、最近では趣旨が伝わりつつあるようで、「あの講義の単位は、ちゃんと理解して勉強していれば、意外と簡単に取れる」との声も聞かれるようになりました。

 

*直観的・視覚的にわかりやすい板書:

数学知識を多用した講義においては、黒板に数式を単調に羅列することを避け、なるべく直感的にわかりやすいよう、数式の中の要素を色チョークで囲んで同じ色で補足説明をつけたり、重要な部分を強調したりする工夫をしています。これには、中学校や高等学校の数学の学習参考書の色や文字の大きさの使い方なども、大いに参考にしました。また、単なる数式の変形導出過程は目立たない小さい文字で、重要な結論となる数式は大きな文字で書き長方形で囲むなど、めりはりをつける工夫をしています。また、数式だけでなく、マンガ的表現の模式図も多用し、さらに、類似した数学知識の整理には対応表を板書するなど、工夫するようにしています。

今後の教育方針に関する抱負

電気電子工学の技術によって産み出された製品の中でも、特に学生の身近にある個人向けの商品では、性能や使い易さやデザインのみを強調し、中の仕組みがなるべく外から見えないようになっているものが多いため、中の仕組みが数学と物理で動いていることを、学生はつい見逃しがちです。
将来電気電子工学の技術開発に携わる可能性が高い学生のためにも、なぜ、電気・電子工学科で難しい数学の勉強が必要なのか、数学が電子製品のどのような部分でどう使われているのかを、直観的に理解してもらえるような講義ができるように、努力を続けたいと考えています。

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