23年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫、および今後の教育への抱負」 — 機械工学科 鞍谷 文保

日頃の教育に対する工夫

私の専門は振動工学で振動関連の授業を担当している.授業では,簡単な振動系を取り上げ,運動方程式を導き,それを数学の知識を用いて解くことで,系の特性を求める.その手続きと得られた結果の解釈を教えている.運動方程式の解法は,教員にとっては簡単であるが,学生にとっては数式の羅列で頭が痛くなるだろう.そこで,振動解析に必要なものに絞ってであるが,数学の知識を丁寧に教えている.それが,私の教育に対する工夫である.
 幸いなことに,私は振動関連の授業とともに,数学の授業も担当している.学部1年の線形代数で,振動解析に必要な固有値(固有振動数),固有ベクトル(固有振動モード)の知識を教えることができる.学部1年では振動の話はしない.2年生のお楽しみと話している.そして学部2年と3年で,学部1年で学んだ内容を振動解析に結びつけ,復習する.授業評価アンケートで,わかりやすい授業との評価を得ている要因の一つは,学部2年と3年の授業で,繰返し数学の知識(線形代数だけではない)を説明するからだと考えている.他の一つは,講義科目における演習の導入だと考えている.特別ではなく,多くの先生が行っていることで,授業構成は次のようである.
①前回の演習の解説:時間の制約があるので,理解不足の内容にポイントを絞る.
②新しい内容の説明:復習が可能な程度に,教科書の行間(式の展開,導出)を説明する.さらに,工学的な意味をわかりやすく説明する.集中力の低下につながるので,私語に対しては厳しく注意する.
③新しい内容の演習:演習を行い,知識の定着を図る.そのとき教室内を巡回し,学生の質問を受ける.
④演習の提出:学生が理解不足(私の説明不足)の点を把握する.ここが最も重要なポイントと考えている.

今後の教育への抱負

私は,本学工学部に着任するまで,教員養成系大学・学部で11年間,中学校技術科教員の養成に携わってきた.そのとき,本学工学部で取り組まれている「統合型体験学習を通じて知識の活用能力や創造力の向上を図る教育プログラム」と同じ考え方で「ものづくりを通して,科学的な知識の実感を伴った理解を図る教材」の開発に取り組んだ.その経験から,体験的な学習が効果を上げるためには,学生の基礎学力があるレベルに達している必要があると実感している.それは,講義・演習科目で取り組むべき課題である.今後とも基礎学力の確実な定着を目指して,授業改善を行う.

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