24年度 The teacher of the yearのことば

「学生とのコミュニケーション」               — 建築建設工学科 明石 行生

昨年、授業中の学生とのコミュニケーションを重視していると述べましたが*、実は、学生とコミュニケーシ ョンをとるのにたいへん苦労しています。満足なコミュニケーションができているのは、少人数の博士前期課 程の学生を対象とした授業だけです。今回、私の工夫を紹介させていただきますが、より良い方法があればご 教示いただきたくお願いします。

 

  1. コミュニケーションを重視している理由:授業中に教員と学生との間でコミュニケーションを円滑にする ことによって、学生にとっては、覚醒すること、理解が深まること、他の学生と質問を共有できること、 教員にとっては、学生の理解度と授業の問題点がわかること、やり甲斐を実感できること、が期待できる と考えています。
  2. コミュニケーションを諦めない覚悟:各学期の最初の授業でシラバスとともに、1で述べた授業中のコミ ュニケーションの利点を説明しています。この説明は、自分にとっては、「この学期の間はコミュニケーシ ョンをとることを諦めないぞ」という意思表明にもなります。この覚悟が伝われば、1年生であっても、 私の質問に対してリーダーシップを発揮して応えてくれる学生がいます。このような学年の授業では、リ ーダーシップをとる学生と他の学生との距離が遠くならないようにさえ注意を払っておけば、あとはうま く運びます。反対に、全ての学生が無表情で何の反応も示さない学年もあります。このような学年の授業 では、コミュニケーションをとるのを諦めて一方的に授業を進めたくなりますが、教員が学生に話しかけ ることをやめてしまうと、学生から話しかけてくることはありません。諦めずに続ける事が大切だと考え ています。
  3. 教室の外でのコミュニケーション:教室の外でもなるべく学生に声をかけるように心がけています。特に、 キャンパスイルミネーション、学際・実験実習、新入生合宿などはコミュニケーションのための貴重な機 会と捉えています。それでも、授業中、学生とコミュニケーションがうまくとれない学年では、上述の機 会に見つけた比較的元気な学生に、「リーダーシップをとって、質問に応えたり、質問したりしてね。」と 頼んでいます。このように具体的に頼まれた学生は、責任感からリーダーシップをとって期待に応えてく れます。こういった配慮の積み重ねが効いているのか、あるいは、時間とともに自然に学生同士が仲良く なってくることが影響しているのかは不明ですが、次第に授業中の教員と学生との間でコミュニケーショ ンができるようになってきます。3年生にもなると、理解できないところと私の間違いを指摘してくれる ようになります。
  4. アメリカでの講義の経験:授業中の学生とのコミュニケーションにこだわっている理由は、アメリカの大 学で博士前期課程の科目を担当した経験にあります。この科目は、週2回×2時間×14 週間の講義をしな ければならなかったうえ、中間・期末試験と各週の課題を準備と採点しなければならなかったので、相当 な時間がとられました。この大学では、教員は、学生にファーストネームで呼ばせています。英語には日本語のような敬語はないので、ファーストネームで呼びあえば教員と学生との距離は近づきます。授業中、学生は、「ユキオ、よくわからないから、もう一度説明してくれ。」といった要求から、「ユキオ、僕はこん なことを体験したが、これは君が教えてくれている理論では説明できないじゃないか。」といった厄介な質 問までどんどんと投げかけてきました。質問の対応に時間がとられ、シラバスどおりに授業を進めること に苦労しましたが、学生の質問によって彼らの理解度を確認することができましたし、自分の頭を活性化 することもできました。また、どのような質問にも答えられるように時間をかけて授業の準備をしました。 このため、授業には緊張感がありました。周到に準備をした授業に対しては、学生は、「ユキオ、今日の授 業はためになった。ありがとう。」と労ってくれたので、充実感もありました。結局、私が学生とのコミュ ニケーションを重視している本当の理由は、自分の努力を評価してほしいから、なのかもしれません。も ちろん、それも期待しながら、福井大学でもこのような授業を再現することを目指しています。
   * http://www.eng.u-fukui.ac.jp/education/staff/23message/23_a_akashi.html


 


 

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