24年度 The teacher of the yearのことば

「日頃の教育について」              ― 情報・メディア工学科 吉田 俊之

一昨年,昨年に続いて三連覇させて頂いた.非常に光栄である反面,本報告については,いよいよ書く ことがなくなってしまった.今回も「工夫・抱負」という本来的内容はお許し頂き,日頃個人的に実践し ていること,そしてそれが「実は間違いなのでは?」と思っている正直なところを述べさせて頂く.

およそ 10 年前に本学に赴任した際,学生諸君の「国語力のなさ」を痛感させられたことがあった.理 系,それも工学部の学生とは言え,「読む力」が圧倒的に不足している.「教科書を理解するという以前に, 果して『教科書を読む』というエートスがあるのだろうか?」と危機感を持ったのが,結果としてこうし て三連覇させて頂く要因になったのでは,と思っている.

「文章を並べても恐らく読まない/理解しないだろう」ということで,「文章ではなくグラフィカルなテ キストを作ろう」と思い立ち,担当となったすべての講義科目のテキスト(各 100~200 ページ程度)を 作って学生に頒布してきた(図 1).そのひとつである「電気回路」のテキストは,例えば図 2 のようにな っており,「文章は極力控え,グラフィカルな説明」を心がけた.どうも学生諸君にはこれが気に入って 貰えたようで,「テキストが解りやすい」(一部に「安い!」という意見もあるが)ということで,毎年一 票入れて貰っているようである.

     

    図 1:作成したテキストの例                    図 2:テキストのあるページ

 

学生諸君にとっても,そして筆者にとっても,これはこれで「良いこと」ではあったが,事はそう簡単ではない.ここからが問題なのである.

高校は理数科,そして工業大学という「理系そのもの」の筆者であるが,「学力の基礎は国語!」という意識が年々強くなっている.例えば,「入試の数学の点数が同じなら,国語ができる学生の方が入学後は絶対に伸びる」と個人的に確信している.

であれば,入学後は専門教育に並行して国語力(英語力じゃなくて!(ごめんなさい))を涵養する教育を行なうべきである.では,これまで努力してきた「グラフィカルなテキスト」というのは,一体何だろう? 文章を読ませてはじめて国語力の涵養なのに,これでは単なる学生への迎合に過ぎないのではないか ― 自己矛盾.「実は間違いなのでは?」と書いたのは,このことである.

理系学生の専門知識と国語力,先生方はどう思われますか?

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