25年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負」      — 建築建設工学科 鈴木 啓悟

本田宗一郎さんは「時間だけは神様が平等に与えて下さった」と仰有ったそうですが、大変真理をついた言葉だと思います。勿論大学における教員と学生にも通ずる事ですから、大学で活動する時間を如何に効率的かつ効果的に使うのかは、教員も学生も本人のやり方次第となります。しかしながら、講義に関して言えば、教員にやり方が大きく影響します。講義時間は90分しかありません。この時間をどのようにして有効に活用し、分かりやすく効率的に伝えるか、第一に教員が工夫しなければいけません。

 

私は講義中に「私の講義は寝ても構いません。ただし、寝るなら机に突っ伏して寝て下さい。頭を垂れて寝ると首に悪いです。」と言っています。真面目に講義をやっているのか?と問われかねない発言ですが、この発言の目的は私自身へプレッシャーを掛けることにあります。といいますのも“学生が寝る”ということは、講義内容を理解できない、講義自体がつまらない、などの理由があるため、眠くさせたら私自身の責任が大きいと考えています。眠っても良いと言いつつ、寝かさない講義を心掛けています。

 

講義時間を有効に使いながら、眠くさせないという課題を達成するためには、講義内容の密度を高めることと、内容が分かりやすいことを両立する必要があります。そのためには、パワーポイントを使って説明するのが一番なのですが、パワーポイントだけで講義を進めると、聞き手が受け身になりすぎて眠くなる他、その場で内容の理解が出来ても、いざ問題に取り組むと、なかなか解を導けない、つまり学力の定着が乏しくなる傾向があります。一方で、板書だけで進めると、学生がノートへの書き取りで一杯となってしまう場合があります。特に私が担当する講義は力学に扱う内容が多く、図を多用するので、板書だけでは伝えられる内容に限度があります。

 

そこで、予め図を印刷したワークシートを配布し、それに書き込む形式でパワーポイントを利用しながら、一部板書をしつつ講義を進めています。これは私の恩師より教えて頂いた手法ですが、特に力学系の講義では威力を発揮するように感じます。見て理解すること、書いて刻み込むことの両面から学力を高めて行きます。効率的に講義を進められるので、ベースとなる理論を教えた後には、例題に取り組む時間を長くとることが出来ます。例題に取り組む回数が増えてくると、基礎理論の再理解につながり、応用力もついてきます。

 

授業アンケートを実施すると、ワークシート形式の講義に対して肯定的な意見が多数を占めますが、この形式が絶対であるという保証はありません。社会からの要求、高校での教育内容や学生の気質は常に変化していきます。学生が福井大を卒業することでハッピーになるためにはどのような教育をすべきか、教える内容や教え方を良く検討しながら、弾力的に講義の改善に取り組んでいきたいと思います。最近はスタジオ教育や実践教育といった言葉が多く聞かれるようになりました。今後は座学講義の手法を改善しながら、さらに他形式講義の良い所を見習い、時に取り入れて、学生の表情に真剣さと喜びが現れるような講義を追求していきたいと思います。

 

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