26年度 優秀教員のことば

講義や試験は、ホントに必要ですか?              — 材料開発工学科 飛田 英孝

「講義と試験をやめれば学生は伸びる。」インターネット型教育システムを開発された熊本大学の鈴木克明先生が、昨年、とある講演会でふと漏らされた暴言です。その時は、発言についてまったく説明されませんでしたので、正直、意味不明。講義も試験もせえへんねやったら、教員は何したらええちゅうねや・・・。でも、引っかかりのある言葉には、思考を促す効果があります。


講義は学生に親切か?

考えてみれば、講義形式で学ぶというのはきわめて高度な学習方法です。実際のところ、普通の講義では学生は頭を働かせていません。これは、質問してみればスグに分かります。居眠りは論外としても、ただただノートを取るだけでは頭は働きません。受け身で講義を聴いている時の脳の活動は、眠っているときと変わらないそうです。そもそも動物の脳は運動するために発達した器官。じっとしていると脳の活動が低下するのは動物の宿命なのでは。

今年度、自宅でビデオ学習、学校で演習という反転授業を試みました。(詳細は、「福井大学高等教育推進センター年報No.4」に投稿済みです。)自分の解説ビデオを見て気づいたこと。それは、たった1回講義を聞いただけで理解するのは不可能だということ。自分の頭で考える時間がまったくありません。学生へのアンケートで、ビデオ学習の良かった点のNo.1が「途中でビデオを停止して考えられる」であったことが頷けます。昔ながらの講義形式は、学生にとって親切な授業とは言えないのではないでしょうか。


試験で学生は伸びるか?

試験が学習を強いる力として働いていることは認めますが、自発的学修でないと身についた能力とはならないことは、みなさんも学生時代に経験済みなのではないでしょうか。試験が終わればキレイさっぱり忘れて。しかも、やりっ放しの試験では、自分が理解できていなかったことを思い知るだけで・・・。試験は、その授業の核心部分を扱いますので、やはりその内容だけは理解して欲しいですよね。試験問題の解説は是非すべきなのですが、試験が終わってから翌週に学生を集めても、もはや興味は単位が取れたかどうかのみ。答が知りたいのは、やはり、試験の直後ですよね。

そこで、毎回の演習に加えて、試験の代替としての「総合演習」を2回実施しました。普段の演習では、学生同士の教えあいを奨励していますが、総合演習は個人プレー。1時間、問題に取り組ませた後、教員が解説を加えて解答を示すのですが、その際、学生は自分以外の学生の答案を採点します。これには、答案の書き方を学ばせる意図もあります。最終的には、教員が全員分を採点し直しますので、教員の負担は変わりません。でも学生は内容を理解しないと採点できませんので、学生自身の学習にはなります。


アクティブラーニングに適した大教室の整備を!

H28年度からの改組で、我が化学系は135名の大学科となります。でも、反転授業と演習を中心としたアクティブラーニングを活用するなど、授業に工夫を加えることにより大人数でもきめ細やかな教育は可能なハズ。・・・とは言うものの、人間の意欲は環境に大きく左右されるもの。固定机にぎゅうぎゅう詰めに座らされ、息苦しくどんよりした教室での授業。これでは、学生にやる気を無くせと言っているようなものです。今回の改組を成功させるにはアクティブラーニングに適した大教室の整備が急務です。自由に組み合わせられる机。アイディアをスグに表現できるホワイトボード。どの席からもシッカリ見える大スクリーン。そんな教室だと、教員の意欲も倍増ですね。

(下記のコクヨのHPにアクティブラーニングに適した教室の例が紹介されています。) 
http://www.kokuyo-furniture.co.jp/manabi/concept/active_learning/case.html

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