26年度 The teacher of the yearのことば

「日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負」    — 電気・電子工学科 葛原 正明

優秀教員に選んでいただき感謝している。「半導体工学」、「電子デバイス」、「電磁波工学」などの3年生の専門科目を中心に担当している。各科目には難解な法則や原理が含まれており、講義方法については今も試行錯誤を続けているのが実情である。ただ、少しでも私の講義が学生達の心を前に拓き、将来目標に目覚める助けになったとすれば、教員としてこの上ない喜びである。参考になるか分からないが、私の変哲ない考えを以下に述べてみたい。


毎回の講義では、そのまま講義に入らず、冒頭に当日の講義を総括することが大切だと感じている。その日の講義で学ぶ内容が、自然環境、社会、企業活動などとどのように関連するかを予め知らせることで、学生の興味が刺激されるはずだと考えるからである。具体的で身近な話題を学生に提供することにより、無味乾燥な原理法則に新たな魅力と親近感を加えることができるはずである。では、この冒頭部の話に、どの程度の時間を費やしてもよいか?目安はないが、有効だと感じれば、時間に縛られずに講義のもつ意味と将来役立つ展望を対話の中で拡大してもよいのではないかと考えている。電気・電子工学科の講義は、電気製品をはじめ、情報機器やエネルギー関連機器などの中で活用される。その実用化に至る段階で、過去にどんな課題が存在し、その課題がどれだけ実用化を遅らせ、また実用化後に問題を起こし、それらがどのように解決されたかなど、平易な言葉で学生に伝えることができれば、単に知識量を増やすこと以上に有効ではないかと考えている。動機づけのない知識は、学生の頭に一定時間留まるかも知れないが、消えてしまえばそれまでである。一方、強い動機づけを伴う生きた挿話は、知識の詳細を忘れたとしても、動機づけによる連想から再度の学習意欲を喚起し、その学習を容易にするはずである。幸いなことに、私は学生時代に多くのユニークな講義を受け、刺激を受けた印象的な先輩先生の言葉の多くを未だに記憶している。30~40年前の大学にも当然シラバスはあったはずだが、先生方は実にのびのびと熱意をもって自分の言葉で語っておられた。科学技術の進歩に向けた期待、気合い、メッセージの大きさこそが、講義内容に重みと未来への夢を与えていたものと思われる。通信教材ではなく、生きた人間がリアルタイムで行う講義の真髄がここにあるのではなかろうか。


今年のノーベル物理学賞は半導体分野から3名の日本人が受賞した。講義内容に関係する身近な分野の受賞ほど直接的に大きな感動を呼ぶものはない。電気電子分野を志す若い世代への影響力もこの上ないはずである。教育と研究を牽引する大学教員として、これからも学生諸君の意欲を大いに刺激し、前向きに課題に挑戦する勇気の尊さと不断の努力の大切さを粘り強く伝えていきたいと思う。

←1つ前のページに戻る

教育

工学部・工学研究科

優秀教員

GPプロジェクト