26年度 優秀教員のことば

「日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負」        — 機械工学科 田中 太

私は福井大学に着任して今年で8年目になります。担当している講義は、2年生前期の流れ学と熱流体力学演習Ⅰ、3年生前期後期の機械創造演習と機械工学実験です。福井大学に着任してから、初めて講義を担当するようになり、これまで四苦八苦しながら自分の講義スタイルを作ってきました。

今年、初めて試した機械創造演習の学習方法について紹介します。機械創造演習は機械工学科の3年生が必修科目として受講するモノづくり実習科目です。この科目は複数の教員が担当しており、それぞれ異なるものづくりテーマを学生に提示します。学生達は希望テーマを選択して3人から5人程度のチームを作り、それぞれのチームごとにテーマを実現する方法を自分達で考えて、モノづくりを実践します。その中では、講義で学んだ様々な知識が使われています。

私の担当するモノづくりテーマは航空機の設計と製作です。このテーマでは、2年生で学んだ流れ学の知識を頼りにして、チームごとに航空力学について自習し、その学んだ内容について他の学生に対して授業をします。皆で航空力学を一通り学んだ後、実際に模型飛行機を設計製作して、試験飛行を行い、最終発表とデモ飛行を行います。昨年までは、私が航空力学の講義を担当していましたが、今年から学生自身による講義に切り替えました。当初は、学生が皆に分かる講義をきちんと準備してくれるか心配していましたが、それは杞憂に終わりました。皆、それぞれ予習をして、講義を実施あるいは受講し、実際の設計に備えて復習もするという良い流れが実現できたようでした。この演習はそもそも学生が自分で演習テーマを選択しているので、学生自身のモチベーションが高く、それが良い結果をもたらしたように思います。

今年のこの体験を通じて、一般に講義とは教員が黒板の前で学生に対して教えるものだと思っていましたが、この概念自体を変えられる可能性を感じました。講義とは学生達が構築するもので、教員はそのガイド役に徹しても成り立つのかもしれません。私が担当している流れ学をチームを組んだ学生達が講義したらどうなるのでしょう?プレゼンテーション能力や、自習能力は間違いなく付くと思います。教員は学生の講義準備を助け、講義中の授業進行を助ける役になります。毎週、講義を担当する学生チームと2時間程度の授業前ディスカッションをした後に、学生チームが講義に臨めば、立派な講義内容になるのかもしれません。しかし、大学では教員の講義を受講できるから授業料を払っていると学生も両親も思っているでしょう。上記の航空力学でも学生達の不満を一部では感じました。「なぜ先生が講義をしてくれないのか?」と。可能性は感じていますが、まだとても学生に流れ学の講義を明け渡す気にはなれません。

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