26年度 優秀教員のことば

 「優秀教員の投票に思うこと」                  — 物理工学科 高木 丈夫

例年,優秀教員の言葉を,Web上で読んでいると「なんだかなぁ」といった気持ちになってしまいます.選ばれた教員の方々の学生に対する熱意に対しては敬意を覚えますが,学生に優しく,親切に対応する方針が多くを占めていて,チョットここが本当に大学なの?と疑問に感じてしまうのです.また,その様な方針が学生に支持される状況を見てしまうと,学問的興味以前に何が評価対象なのかという,大学の状況まで透けて見えます.


 僕は,学生の名前を覚えることはしませんし,顔を覚えることもしません.とにかく難解な物理概念を,平易に普遍性を持って表現することに腐心しています.これが大学で教壇に立つ者の役割であって,他のことは副次的なことと考えています.学生に対する熱意より,まずは学問に対する熱意を示さないといけません.学生の名前をあえて覚えようとしないのは,実社会に出ていくとわざわざ名前なんて覚えてはもらえないですし,親切にも扱ってももらえません.大学が,実社会で生きていく上で,ある程度完成した人間を作るには,このような対応がぜひとも必要と考えているのです.


 さて,学科必修科目の現役生合格率が常に3割強という授業を行っている僕を,度々優秀教員に選んでいる物理工学科学生に感謝しましょう.共通系数学を他学科に教えて,学生の反応を見て思うことは,「僕が他学科で優秀教員に選ばれるのはなかなか難しいだろう」ということです.また,本学科で優秀教員に選ばれるのには,20%程度の票を集めると充分という事実があります.いろいろな個性を持った教員がいて,学生もそれを評価しているわけで,良い意味でのドングリの背比べ状態になっていると認識しています.この状態は,学生組織としても,教員組織としても,好ましい状態だと思うのです.結局は今回の受賞も,学科学生と同僚教員の意識の高さに大きく依っている訳です.


 振り返ると,最初に優秀教員に選ばれてから,10年以上が経ちました.10年前に思ったのは,「10年後の学生たちは,僕のような授業方針を受け入れてはくれないだろう.」ということでした.でも,どうやら物理工学科に関しては授業方針が通用するようで,近年優秀教員に選ばれる機会が増えてきました.教壇に立てる時間も残すところ10年を切りましたが,これからも授業方針を変えずに自分の役割に徹する所存です.

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