27年度 The teacher of the yearのことば

日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負         — 電気・電子工学科 田岡 久雄

 

大学に入学してくる学生の力の開きが、近年徐々に大きくなってきています。学業に優れた学生とそうでない学生の2極化が進み、授業運営が以前に比べて難しくなっていると感じるこの頃です。また、暗記すればいい知識やパターンの決まった問題には強い学生は多いのですが、創造・工夫・考察を行う能力が弱いと感じられる学生が多く見受けられます。そんな多様な学生の持つ能力を十分に引き出し伸ばすために、私が心がけていることは主に以下の2つです。

 

(1)  ミニマムエッセンシャルズの修得

私の専門分野である電力分野は、電気が社会に普及し始めた明治時代の頃から発展してきた歴史の長い技術分野の一つです。しかしながら、電力の供給体系を担う電力システムの挙動は把握できているようでいて、生き物のように成長しており、全貌を正確に捉えることはなかなか難しく、数多くの手法・見地から長年研究が行われてきています。その技術の蓄積量は多大で、学生が大学4年間で身に着けるにはやや難があります。そのため、必要最低限の知識、ミニマムエッセンシャルズを選んで教えていくことが重要であると考え、授業の中では、必ず覚えてほしいこと、身に着けてほしい定理などを明確に示しながら講義を行っています。

(2)  創造的思考力・表現力の発現

電力分野は、言われて久しい低炭素社会の実現、再生可能エネルギーの有効利用に留まらず、電力の供給体制そのものを改めて考え直す必要性が生じるなど、種々の課題が見え、まだまだ発展し続けています。特に近年、電力システムに再生可能エネルギーを利用した分散型電源が普及するにつれ、従来の確定的な技術の開発では対応できない不確実な部分が多くなっています。そのような電力システムは、厳密に制御しようとすると多くの情報を用いた制御が必要になり、不確実性を許容しようとすると設備に大きな余裕を持たせなくてはならなくなります。このトレードオフのバランスを如何に保つかが大切です。このような課題に対応した技術の開発においては、柔軟な発想ができるエンジニアが渇望されています。そこで、「なぜ?」、「なに?」という疑問を学生に投げかけ、その解決策を考えさせるような時間を与えることを心がけています。そのプロセスを繰り返すことで、思考能力を養えるのではないかと考え、日々学生と接しています。

厳しくすれば萎え、甘くすれば図に乗る学生との距離感を考えながら、今回の受賞を一つのステップにして、学生の教育により一層励んでいきたいと思います。

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