28年度 優秀教員のことば

日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負      — 機械工学科 永井 二郎

 近年、多くの先生方が導入・実施している反転授業について、検討はしてみるが踏ん切りがつかず、相変わらずの授業を行っている。その日頃の授業でも心構えと工夫を述べた後、最近感じたことを記す。

 

1.日頃の教育に対する心構えと工夫

心構え①:学生・教員が互いに納得できる講義となるように

教員(私)は、初回講義時に「学生の目標」を提示し、その目標達成のために出来る範囲内で最大限の援助(講義の工夫、質問への回答等)を行うことを伝え、目標達成の評価手段や合格基準(期末試験、演習問題等)を明示し、実行する。学生は、私の援助を受ける権利を最大限に活用し、自らの能力向上に利用することができる。その権利を行使しない学生(例えば、講義に欠席する、分からないのに考えない・質問しない等)は、当然のことながら「学生の目標」を達成することが困難になる。この当たり前のことを、学生・教員が互いに納得できるように、公平・誠実を旨として心がける。

工夫①:学生・教員双方に分かり易くするため、1回90分の講義は1つのまとまりのある内容で完結するよう、全15回の構成を組む。また、毎回、講義内容に沿った演習問題を宿題として課す。

工夫②:宿題プリント裏面に「講義内容・方法に対する質問・要望等」の欄を設け、なかなか口頭で質問に来ない学生の疑問や要望を把握するよう努力し、次回講義の最初に必ず何らかの回答を行う。

工夫③:私が担当する熱力学や伝熱学では、「熱」や「温度」「エントロピー」といった見えない物理量を扱うため、その基礎概念や各種熱サイクルをビジュアルに分かり易く示すアニメーションソフトを活用し、板書と併用することで、難解な概念理解を助ける。

 

2.今後の教育への抱負

教育の成果として、学生の自主的な学習・研究意欲が向上することが最も重要である。しかし、意欲向上を促すような具体的・一般的な方法は無いように思われ、またその評価方法は学生から受ける”感触”以外に見当たらない。ここが教育上の最大の課題であり常に頭の隅において教育活動にあたりたい。

2016年度後期、私が担当する機械系熱力学の科目を、生涯学習市民開放プログラムとして受講されている一般市民の方がいる。この科目は、熱力学第一法則・第二法則を学修済みの学生が対象で、自動車エンジン、航空機ジェットエンジン、火力や原子力発電所、エアコンや冷蔵庫の冷凍サイクルなど、具体的な熱機関やヒートポンプの基本的な性能評価計算が出来るようになることを目標としている。第一法則や第二法則はもちろん、理想気体の関係式も用いて、温度・体積・圧力・熱・仕事・内部エネルギー・エンタルピー・エントロピーといった諸量の計算をするため、機械工学科専門科目の中でも難易度はかなり高いと思う。そのため、その一般市民の方には最初、「この科目は、いわゆる教養科目ではなく、電卓を叩いて計算することも多く、なかなか難しいですけど、いいですか?」と問いかけた。その方は、「昔、大学では物理を習って、理論熱力学は学んだが、蒸気が出てくる工業熱力学に興味があって、ぜひ履修したい」とのことであった。講義では毎週、復習のための宿題を出しているが、その方の解答用紙には毎回びっしりと計算過程が書かれていて、また講義後は毎回のように急所をつく質問をされる。「興味があって学びたい」と思う方には年齢など関係なく、熱心に自主的に学習されている。その姿は、同じ教室で聴講する学生にもよい影響を与えているように思え、顧みて私自身は最近、「興味を持って学習した」と言えることがどれだけあるだろうか? と自省している。

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