28年度 The teacher of the yearのことば

日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負         — 機械工学科 田中 太

私は福井大学に着任して今年で10年目になります。担当している講義は、2年生前期の流れ学と熱流体力学演習Ⅰ、3年生前期後期の機械創造演習と機械工学実験です。福井大学に着任してから、初めて講義を担当するようになり、これまで四苦八苦しながら自分の講義スタイルを作ってきました。

機械工学科では、3年生の前期後期を通じて機械工学実験という実習授業を行います。機械工学実験は、これまでに学んだ座学の知識について、自ら実験することにより直接体験し、理解を深めることを目的としています。実習は6~8人の少人数グループで実施し、全部で12の実習テーマがあります。私は流れ学の分野として「船の模型実験」を担当しています。この実験では、あらかじめ用意された小さな模型船を用いて、その抗力係数を計測し、船が水面を航行する際に生じる抗力について理解することを目的としています。また、模型船を用いて計測された抗力係数が、模型船に対応する実大サイズの船の抗力を推定するのに有用なことをスケール相似則に基づいて説明しています。その後、学生たちは自分のアイディアに基づいて、新型の模型船を設計製作し、その新型模型船の抗力係数を計測します。更に新型模型船の抗力係数があらかじめ用意された模型船と比較して、なぜ小さく(あるいは大きく)なったのかについて議論するのが最後の課題です。この実験では、流れ学として教えているアルキメデスの原理、メタセンタによる浮揚体の安定性、連続の式、ベルヌーイの定理、境界層、抗力と抗力係数などの知識を総動員します。少人数教育なので、流れ学の授業と異なり、学生に問いかける形式を一部取り入れて解説を進めることができます。最後の新型模型船の設計製作は、学生たちにはとても楽しいようで、流れ学の講義では見せたことのない顔で喜々として製作に励んでいる様子を見ることができます。この実習の中で狙いとしていることは、あえて新型模型船の設計指針を学生に与えず、学生の好奇心に基づいて新型船を設計してもらうことです。学生自ら考えた改善理論に基づいて製作された船が、予想通りに高性能を示した時の高揚感と満足感も大事ですが、逆に全く性能が出ない時の失望感とそれを跳ね返して手持ちの知識を総動員して、改善に励むことが大きな教育効果を生むと考えています。実験を通して得られた知識は体験に基づいているので、座学で得た知識よりも、きっと深いレベルで学生の心に残るだろうと期待して、毎年の実習授業を進めています。

今後も講義や演習の内容に改善を続けていき、自分が学生のころに理想としていた教員に少しでも近づけるように頑張りたいと思います。

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