29年度 優秀教員のことば

日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負          ― 生物応用化学科  寺田 聡

大学教員として最も重要な職務の一つは、大学生および大学院生の能力を高め、優れた卒業生を社会に輩出していくことです。ところで、高等教育機関である大学での教育は初等・中等教育と大きく異なっております。

単に知識や教養を伝達するだけではありません。学生が自らの力で学習を続けていくこと、自己の能力を自らの取り組みで高めていくことができるように、そんな人材として育てていかねばなりません。さらには、工学の専門家として新規の技術を開発し、これまでとは異なる考え方に基づいた新しい概念を提案して優れた仕組みを開拓していく能力も欠かせません。積極的に、未知の課題/難題に取り組み、克服できること。タフで機知に富み、創意工夫を積み重ねていける、そんな人材です。

そのような人材を育成すべく、教育に努めております。注力しておりますのは、研究室での研究教育ですが、それに劣らず、講義や実験、演習といったいわゆる授業も、大切な機会です。

学生実験では、事前の教室での説明の際のみならず、実験中にも、操作の詳細を説明するに際しては、できる限り学生に質問を投げかけます。一つ一つの操作の意味、あるいはどのような工夫で行うべきであるのか、ということです。教員からの一方的な教示では、学生の成長にはつながりません。彼らの主体的な取り組み、とりわけ、一見当たり前のことに対しても「熟慮」の上で操作するという姿勢こそ肝要であると確信しております。

講義についても同様です。私の担当しております「生物化学」では、覚えるべき知識が多く、ある部分では「暗記科目」となっているのですが、そんな中でも、考えること、特に複数の知識の活用と関連付けで暗記せねばならない量も減じますし、新しい課題に対する解決力も磨かれると存じます。

国立大学の特徴の一つに、比較的に少人数の受講生、ということがあると思いますが、学生に様々な問いを投げかけるという教育法では、少人数の受講生という利点が生きてきます。真剣に考えざるを得ないからです。

実際には、以上のような取り組みは、実際にはどれだけ有効であったのか、全くもって自信がありません。格別に目立った教育法でも、受講生の気持ちを惹きつける教育技術を持っている訳でもありませんから。しかしながら、私は講義であっても、受け身ではなく、学生が自ら考えながら主体的に取り組んでいく講義を達成できれば、という努力は続けてきたつもりです。口で言うほどは簡単ではないですが、今後もこのような意欲を持って取り組んでいきたいと考えております。

そして、次のように願っております。本当の意味で、学生から評価される教員になりたい、ということです。

優れた教育を受けた、と評価できるのは、少なくとも十年後、あるいは人生の後期に至ってからであるはずです。はじめに申しましたように、高等教育での目標は、自らを教育していける人材であり、道なる課題を主体的に解決できる能力の涵養です。

であるならば、学生からは、卒業後、かなりの年数を経た後に、我々の教育を評価してもらえることが望ましいのです。このことを心に刻み、教育に努めていきたいと存じます。

 

2017年12月20日

←1つ前のページに戻る

教育

工学部・工学研究科

優秀教員

GPプロジェクト