29年度 The teacher of the yearのことば

日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負       — 電気・電子工学科 葛原 正明

本表彰の約束により、今年も本コメント欄への投稿を求められました。ただ、担当する講義科目に変化はなく、文才のない筆者にとっては、過去の投稿に比べて気の利いた文章をすぐに考えつくわけもなく、ワープロとの侘しいにらめっこの日々が続きました。

現在担当している講義は3年生向け専門科目で、電磁波工学、半導体工学、電子デバイスの3つです。いずれも電気電子工学に直結した科目であり、モノづくり産業を支える基礎原理を教える大事な科目と自覚しています。1970年代に大学生だった筆者も、同様の講義を受けた記憶がありますが、自身を含めた当時の学生と比べると、聴講する側の学生の受講態度に差を感じます。昔の学生の方が優れていたなどと言うつもりはありませんが、モノが溢れた現在の学生には、勉強して是非理解したいと願う動機付けが欠けているように感じます。しかし、それも無理ないことかも知れません。

筆者が学生の頃の男子へのクリスマスプレゼントと言えば、プラモデルに始まり、レーシングカー、ゴム動力飛行機、電子ブロック、顕微鏡、天体望遠鏡などでした。いずれも今思えば、娯楽性だけでなく、創造性と発展性に富んだ魅力的な商品ばかりです。手作り工作に関して、模型とラジオ、模型と工作、初歩のラジオ、などの月間雑誌が街角本屋に氾濫し夢中で立読みした思い出があります。そんな環境の中、筆者はやがて電子回路工作の面白さに夢中になり、無意識のうちに工学部電気工学科を目指すようになりました。テレビはなぜ映るのか、FM放送はなぜ音質が良いのか、もっと音質の良いオーディオアンプを作りたい、エレキギターの音色を自在に変化させたい、などの素朴な疑問の一部の答えは講義の中にありました。

人間は知りたいことがそこにあるとき、欲求を満足するために努力を惜しまないはずです。したがって、その欲求の答えが講義の中にあるならば、講義は手放しで成功するはずです。学生が知りたいと感じる欲求を常に喚起しつつ生きた講義を展開したいと考えています。実際の講義はと言えば、まだ理想に及びませんが、筆者の場合は、身近な電子機器、情報機器、輸送機器などの未来イメージ創造に向けて、学生の知的欲求パワーを巧く誘導し活用したいと考えています。IOTとGPSに支えられた次世代物流とエネルギー流、味やにおいを見分けるセンサー、量子コンピュータ、人工生物や人間型ロボットの出現、無尽蔵のフリーエネルギーの開発、人工ダイヤ合成など、挑戦は尽きません。知的欲求に目覚めた学生諸君に、課題に挑む精神の大切さを伝える講義ができれば、近い未来に新たな独創技術が創造されるものと信じています。今後も講義に精進したいと思います。

 

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