29年度 優秀教員のことば

日頃の教育に対する工夫、及び今後の教育への抱負      — 機械工学科 酒井 康行

機械工学科の学生を対象にした物理化学,熱力学,内燃機関工学の授業の工夫について二つ紹介する.いずれも,「なぜ勉強をするのかわからない,勉強した内容がどう活かされるのか」と悩む学生への対応である.一つ目は,身近な物理現象(例えば,水の蒸発など)が上記科目で習う概念や数式で理解できることを示すことである.最新の工学への展開例についても,論文や学会が開催する講習会から情報を仕入れ,授業の合間に雑談として紹介することもある.専門的な内容に深く踏み込む応用例については,一部の優秀な学生のために,参考書やWebページなどの学部生がアクセス可能な情報源を伝え,自ら勉強することを薦めている.二つ目は,授業のはじめの10分を使い,全15回ある授業の中でのその日の授業の位置付け,その日の授業で最低限は理解してもらいたい内容について話をすることである.若くて体力のある学生でも,授業中の90分間(または授業期間中の15週間),常にモチベーションを維持して授業にのぞむことは難しい.先の見えない話の中で,次々と難しい概念や数式の説明をされても苦痛なだけである.しかしながら,この最初の10分間の話を導入することにより,授業で達成すべきこと,なぜ学ぶ必要があるのかが明確化され,学生は苦痛から解放されているようである.以上,いくつかある工夫の内の二つを紹介したが,授業手法的には特別なものではない.授業改善アンケートを通して学生の声に耳を傾け,一つ一つを授業に反映していくことが私の授業に対する工夫である.

 

今後の教育への抱負として,一つ考えていることを述べる.機械・システム工学科の教育理念・目的として,国際社会において活躍することができる学生の育成が掲げられている.これまで学生海外派遣プログラムに関わり驚いたことは,研究活動については最低限の英語を利用して会話が成立しているものの,ランチ,ティータイム,パーティーでは,まったく会話をすることができない学生がいることである.原因は明らかで,海外ではよく話題にあがる家族の話,日本の歴史や政治に対する自分自身の考えについて答えられないからである.学生自身が意見を持たない,深く考えたことがないからであり,日本語でも答えられないはずである.雑談ができてこそ相手との信頼関係が深まり,国際的に共同して仕事ができると考える.TOEICの点数を追いかけがちな学生の認識を改めさせるためにも,引き続き学生へ海外渡航の機会を提供し,1人でも多くの学生がランチタイムやパーティーを楽しむことができるように協力していきたい.

 

 

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