応用物理学科

教育プログラム紹介

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応用物理学プログラム

応用物理学科では,JABEEの認定・審査申請を予定しており,JABEE の認定基準に準拠した教育プログラム(応用物理学プログラム)に基づいて教育を行っています。応用物理学プログラムが育成しようとする技術者像,学習・教育到達目標,カリキュラム設計の方針について,以下に解説します。

プログラムが育成しようとする自立した技術者像

近年の急激な技術革新においては,個々の要素技術のみならず,より学際的な基礎科学の助けが必須となっています。最先端技術で思いがけない発明や発見を可能にするのは,各分野の専門知識ではなく,より広い分野にわたる基礎能力に基づいた総合的な発想力であると言われています。日々進歩する技術やその多様化に柔軟に対応していくためには,狭い専門分野に閉じこもることなく,幅広い分野の基礎的な能力が必要とされるのです。また,国境を意識せず幅広い世界で活躍できるグローバル人材の育成が社会から求められていますが,このような人材に必要とされるのは,語学力ばかりではなく,確固たる基礎学力を基に,自ら高度な知識や技術を獲得し,使いこなす能力です。我が国の工業技術は,今後,安全で安心な社会の構築とその維持に貢献する必要があり,そのためには,ものごとを根本から論理的に考える能力・習慣を持ち,生涯にわたって自らの力で継続的に学び続ける力が必要です。応用物理学科では,工学の幅広い分野に対応できる確固とした理工学の知識・思考方法・応用能力を修得するとともに,総合的な実践力や産業関連知識を自ら学び,課題解決につなげる力,グローバルな行動力,倫理観を身につけた人材を養成します。物理学を中心とした基礎科学と工学との接点に立って総合的な発想力と応用力を養うことにより,新しい技術の創出に挑戦するとともに,来るべき未知の技術革新にも対応し,安全で安心な社会を真に支える先端技術者の育成を目指します。

学習・教育到達目標

応用物理学プログラムの学習・教育到達目標を表1に示します。これは,JABEE 認定基準1.2の(a)~(i)の各項目を具体化したものであり,プログラムが育成しようとする自立した技術者像に照らして,応用物理学科が独自に定めたものです。

表1 応用物理学プログラムの学習・教育到達目標

(A) 物理学を中心とした理工学の基礎知識と応用力

(A-1) 物理学,および,応用物理学に関連する基礎知識
(A-2) 数学,化学,および,計算機科学に関する基礎知識
(A-3) これらの基礎知識を組み合わせて,先端技術分野における問題設定・解決に応用できる能力

(B) 基礎知識に基づいてものごとの本質を捉えた上で総合的に発想するデザイン能力

(B-1) 必ずしも解が一つでない課題に対して,物理学を中心とした理工学の知識を駆使し,ものごとの本質を把握する能力
(B-2) 総合的な発想により制約条件下において解を見出し,文章,図表,数式,プログラム等で表現する能力

(C) 計画性と自己学習能力

(C-1) 課題を計画的に進め,必要に応じて計画を修正しながら,期限内にまとめる能力
(C-2) 自主的・継続的に学習し,文献等を調べながら,自ら知識を獲得できる能力

(D) 技術者としての倫理観,教養に裏打ちされた多角的なものの見方

(D-1) 物理学が社会や自然におよぼす影響を理解し,技術者が果たすべき役割と責任を自覚する能力
(D-2) 文化の多様性,地球環境などの観点から問題を多角的に捉え,豊かで安全・安心な社会の構築に寄与するために必要な教養と思考力

(E) コミュニケーション能力,チームワーク力

(E-1) 情報や意見を,言葉や資料を用いて正確に伝えるとともに,他者の意見を理解する能力
(E-2) 英語で書かれた技術文書を読むことや,英語で意思疎通することができる能力
(E-3) チームの一員として,他者に働きかけながら,物事をまとめ上げていく能力

学習・教育到達目標と基準1.2 の(a)~(i)との対応

応用物理学プログラムの学習・教育到達目標とJABEE 認定基準1.2の知識・能力(a)~(i)は,次の表の通り対応しています。

表2 学習・教育到達目標と基準1.2 の(a)~(i)との対応

各科目とプログラムの学習・教育到達目標との対応関係

応用物理学科で履修する各科目と学習・教育到達目標との対応関係を表3 に示します。応用物理学科のカリキュラムは,次節で説明する設計方針に基づいて作成されており,学習・教育到達目標の各項目を達成するために,系統的に科目が配置されています。卒業に必要な単位を取得することにより,すべての学習・教育到達目標を達成できるように配慮されています。
表3 には,各科目の授業時間も明記されています。卒業研究については,教員等の指導の下で計画・実施される導入教育,ゼミナール,経過報告会,論文講読等,研究室ごとに決められたプログラムを授業時間とみなします。具体的な内容については卒業研究のシラバスに明記されています。
JABEE では,自己学習の重要性を強調しています。各科目を履修するにあたって必要となる準備学習(予習・復習等)の具体的な内容と必要な時間数については,各科目のシラバスに明記されています。

表3 各科目とプログラムの学習・教育到達目標との対応関係

学習・教育到達目標を達成するためのカリキュラムの流れ

学習・教育到達目標を達成するためのカリキュラムの設計方針と,それに基づいて配置された授業科目の流れを以下に示します。図1 も参照してください。

(A)物理学を中心とした理工学の基礎知識と応用力

物理学,数学,化学,情報技術についての充実した基礎科目群を配置し,基礎的な知識や思考方法,応用方法を総合的かつ体系的に学習します。これらについての基盤的な知識や学力,問題解決力や応用能力を身に付け,確固とした学習基盤を構築したのち,応用物理学分野の高度な専門知識・技術の習得に進みます。個別の専門分野の高度な知識とともに,学習内容の関連分野における位置づけや,基礎から応用への繋がりを理解し,物事を基本から論理的に考える能力・習慣と,生涯にわたって自らの力で継続的に学び続ける力を修得します。具体的な科目配置の方針を以下に示します。

  1. 数学および応用数学に関する科目を1年次から2年次前半にかけて集中的に配置し,論理的かつ数量的な思考能力を強化するとともに,物理学を学習・応用するための道具立ての修得を図ります。
  2. 学習のための共通基盤として1年前期に情報・データリテラシーを学びます。その後,2年前期~後期に数値計算法を中心とする計算機科学の基礎を学びます。必要となる応用数学を並行して学習できるように配慮しています。
  3. 化学については,物理学との関連を重視し,主に,物理学の学習が進んだ高学年に配置しています。
  4. 物理学に関しては,1年次からバランスよく配置し,在学期間中を通じて物理への興味が継続するよう配慮しています。また,量子力学,統計力学,流体力学など,高度な数学を必要とする科目は,数学の学習が進んだ2年後期から3年後期にかけて配置しています。3年に配置する科目には,応用物理学に関連する内容が多く含まれています。
  5. 4年次において,卒業研究に取り組みます。各研究室に配属され,これまでに学んだ知識を総動員し,先端技術分野における研究に取り組む中で応用力を磨き,問題解決能力の向上を図ります。

(B)基礎知識に基づいてものごとの本質を捉えた上で総合的に発想するデザイン能力

「基礎物理実験」や「応用物理学実験I~III」などの実験科目を通して,幅広い分野に跨る総合的な課題発見・解決能力,実践力,発想力を養います。「学際実験・実習」などの創成教育科目も受講できるように配慮しています。また,物理や化学の基礎知識を応用展開する「電気電子回路」や「原子力エネルギー・放射線工学」を3年次に配置し,システムデザインの基礎を学びます。学習の集大成として,卒業研究において1年間にわたって先端研究に携わり,深い考察のもとに発想するデザイン能力の定着を図ります。

(C)計画性と自己学習能力

講義と演習を融合し,従来とは異なる授業形態を取り入れた「講究」科目を,全ての基幹的な物理・数学・コンピュータの科目(8 科目)に配置しています。より高度な演習に取り組むもの,基礎を重点的に学ぶもの,工学的な応用を意識したものなど,授業の形態はさまざまですが,学生が能動的に課題に取り組むことを求める点が共通しています。講究は選択必修科目であり,学生は各自の興味とレベルに応じて履修を選択できます。能動的な学習を通じて,学生は計画性と自己学習能力を身につけることができます。
1年前期の「大学教育入門セミナー」において,計画的な自己学習のための基本を学び,2年後期から3年後期にかけて受講する「応用物理学実験I~III」では,期限までに課題を仕上げる計画性と自己学習を実践します。1年間にわたる卒業研究を通じて,計画性と自己学習能力を磨きます。

(D)技術者としての倫理観,教養に裏打ちされた多角的なものの見方

共通教養科目においてリベラルアーツを学び,教養に裏打ちされた多角的なものの見方を身につけます。「大学教育入門セミナー」,「科学技術と倫理」,「科学技術と社会」を1年次から2年前期に配置し,技術者倫理や技術と社会のかかわりを学びます。また,物理学が社会に果たす役割を理解し,モチベーションをもって物理を学習できるように,1年前期に「応用物理学概論」を配置しています。
3年次から4年前期にかけて,「インターンシップ」や「知的財産権の基礎知識」などの実践力育成に関する科目群を配置し,職業関連知識,社会人基礎力,マネージメント能力,リーダーシップなどを養います。これらの履修を促すために,3年次後半の専門必修科目が少なくなるように配慮しています。

(E)コミュニケーション能力,チームワーク力

1年前期から2年後期にかけて「英語I~VI」を配置し,英語の「読む,書く,聞く,話す」の4つの能力を総合的に身につけます。また,3年後期には「科学技術英語」を配置し,英語の文献を理解する能力を身につけます。さらに,「海外短期インターンシップ」などを希望に応じて受講できるようにし,グローバル性の育成を図ります。また,1年前期の「大学教育入門セミナー」において,コミュニケーション技術の基礎を学びます。その後,3年次にかけて,発表会形式の報告を実施する科目や,グループワークを含む科目を多数用意し,コミュニケーション能力とチームワーク力の育成を図ります。

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