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熱流体システム分野 Thermal and Fluid System Engineering
研究の紹介
エネルギーは人類の生活を支え,経済社会の維持発展に必要不可欠なものです.熱流体システム講座はこのエネルギーに関する幅広い現象を教育・研究の対象としています.エネルギーは,エネルギー保存の法則が示すように発生も消滅もしないものですが,種々にそのかたちを変えながら環境や社会のなかを流れていきます.多量のエネルギー資源消費が地球環境にさまざまな悪影響を及ぼすことから,エネルギー消費を抑制するとともに,利用価値のないエネルギーの排出量を地球環境の包容力の許す範囲に抑える必要があります.このためには,エネルギーのかたちを変換するときの効率を高め,人類にとって最終的に有効に活用できる量を増やし,さらに新しい利用方法を見いだすとともに,エネルギーの発生,消費,回収,排出について地球環境を含めたトータルシステムとしてとらえることが必要です.
以上のような観点にたって,熱流体システム講座では,大学院工学研究科,国際原子力工学研究所(敦賀)原子炉熱水力部門のグル-プと協力して,エネルギーの一形態である熱エネルギーの特質と移動,エネルギーを運ぶ媒体である流体とその流れの特質,熱・流体エネルギーを力学的エネルギーに変換する手法と変換機器および環境を含めた熱流体システムに関する講義を担当しています.
次に,各教員の研究内容を紹介します.
研究分野
永井 二郎
本研究室は,様々な『伝熱現象』を対象に,伝熱現象の解明や伝熱特性の制御に関する研究をしています.例えば,沸騰現象を利用した冷却は,鉄鋼製造や超電導体冷却などさまざまな用途で用いられていますが、固体面温度が高温時には液体の接触が乏しく冷却速度が遅くなります。「いつ液体が持続的に固体に接触するのか?」この疑問を解決するため,可視化実験と数値計算に取り組んでいます。右図は,高温面に水が部分的に接触した時の瞬間写真です.
研究テーマの多くは企業等との共同研究や国からの研究助成課題です.大学院生と卒論生 あわせて約10名が,実験や数値解析を行い,喜びや苦しみをわかちあいながら研究生活を送っています. |
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田中 太
本研究室は,スプリンクラーなどの散水設備による火災抑制性能のモデリング,そして閉空間(トンネルや地下駐車場等)火災時における煙あるいはガス流動現象の解明を研究の柱としています.散水設備によって,火災を消し止められるか,あるいはどの程度の火災抑制効果が期待できるかなどを,工学的な方法で判定できるようにしたいと考えています.また,トンネルのような特殊閉空間火災では大量の有害な煙が発生し,人命救助や消火活動の障害になります.そこで,特殊閉空間における煙流動現象の把握や,どのようにして安全に排煙するかなどに着目して研究に取り組んでいます.本研究室では,火災実験と数値シミュレーションの両面から研究に取り組んでいます.
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党 超鋲
本研究室では、省エネ技術や快適な住居空間の創出に注力し、都市のエネルギーシステムに関する研究を行っています。先進的な熱交換器の研究から、冷媒の低GWP化、太陽エネルギーのコジェネレーション利用、冷凍空調システムの革新に至るまで、幅広い研究開発を展開しています。最近取り組んでいる研究テーマの例を以下に示します。
(1) 先進熱交換器の研究:
マイクロ熱交換器、新しい放射拡張流路、化学的・電気化学的・光学的及び機械的手法による伝熱表面の改質(超親水性、超撥水性、温度依存の濡れ性表面の開発)
(2) 冷凍空調システムのイノベーション:
撥水性分離膜を用いた小型で高性能な吸収冷凍機、電気自動車の熱マネージメントシステム
(3) 冷媒の低GWP化研究:
次世代冷媒の安全性やリスク評価、HFO冷媒の燃焼特性、熱分解、不均化反応の機構解明、及び抑制効果の評価
(4) データセンターの冷却システム:
相変化冷却・熱回収システムの開発、超高発熱密度・大規模データセンター用サーバのスプレー冷却及び液浸冷却システムの開発
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太田 貴士
数値シミュレーションによって,安全性やエネルギー効率に関わる流体現象のメカニズムを解明し,各現象の予測と制御を実現するための研究に取り組んでいます.研究テーマの例を以下に示します.
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航空機や高速列車から発生する流体騒音の予測のための解析方法と抑制のための制御方法の開発
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各種流体機械のエネルギー効率向上を目指した界面活性剤などの非ニュートン流体による乱流抵抗低減のメカニズム解明と制御に関する研究
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液体燃料ロケットエンジンの信頼性向上を目指したエンジン内ポンプで発生する不安定キャビテーション現象の予測と安定化のための研究
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流体の関わる冷却問題の効率化のための高精度な熱流体現象解析法の開発と応用に関する研究
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